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夜明け
第5章 雨催い
ある日、息苦しさに目を覚ますと辺りは火の海だった。あれに勝る恐怖も、絶望も、俺はまだ知らない。
家が木造だったこともあり、火が回るのは一瞬だった。恐怖で動かないからだ。思うようにできない呼吸。崩れ落ちる天井。倒れる柱。
燃える柱は、俺の上に落ちてきた。下敷きになった俺は、まだ十にも満たなくて、当然、そんな子供が自力で脱出できるはずもなかった。
熱さと痛みに泣け叫ぶ気力もなく、苦しさにもがきながら意識を失った。
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