第5章 雨催い
「はぁ?」
思わず素っ頓狂な声を上げたのも仕方ない。惚れている、と言った。確かに言った。神にとって性別など意味の成さないものであることは、知っている。だが、俺は鶯丸の言葉を信じることができない。
「だって、お前、そりゃあないだろ」
「ひどいな。そんなに否定しなくてもいいだろ」
「酷いもんか。そんな素振り、今まで見せたことないくせして」
「見せないようにしていたからな」
「そんなんで納得するかよ」
急に何を言い出すかと思えば、惚れているだって?確かに、鶯丸は俺に敵意を抱いていなかった。だが、ずっと一定の距離を保ってもいた。だから、そんな、まさか。
「………ん?」
若干のパニックを起こしていると、今度は鶯丸が長襦袢の合わせ目に手をかけてきた。
「はっ?!何?!」
「…………」
問いかけても返事はない。まさか怒った?というか、脱がそうとしてる?えぇ……、本当に?
「これ、」
「ぅひっ…!」
鶯丸は長襦袢をがっと下ろすと、胸の下、肋骨あたりを指先でなぞった。突然のことに驚いて、情けない声が口から出る。