第5章 雨催い
「審神者さま!呼んでまいりました!」
こんのすけを先頭に、歌仙と三日月がやってくる。彼らも離れに入った時点で気づいたらしい。この異様な気配に、眉をしかめる。
「これは……、」
歌仙が息をのむ。何かを考え込むように、めっきりと黙ってしまった。
「呪いだ。厄介なことに、姿を得ている。刀剣男士の元へは?」
尋ねれば、三日月が首を振った。
「俺たちのところには、何も。しかしこれは、厄介よのう」
三日月が瞳を細め、瘴気の漂う黒い足跡を見つめる。その冷たい視線に、背筋が自然と伸びる。
「早く手を打たねば、取り返しのつかないことになるぞ」
三日月の言葉に、強く頷く。ここまで呪いが膨張するまで気づかなかったのも不思議な話だが、とにかく対処が優先である。
「この呪いに心当たりは?」
「全く。お主が連れてきたものでは?」
尋ねれば、三日月はまたも冷たい声で聞き返してくる。離れにしかやってこないというあたり、完全に否定できないのが痛い。だが、もし俺が連れてきたものならば、なぜ今になって?まして、俺のうちには神が巣食っている。それを無視して俺を呪うには、かなりの力が必要であり、力が強大であれば隠すことは難しい。