第1章 オトモダチ
学校から歩いて20分程の場所にある、この地域では最も大きな高層マンションの一部屋が二階堂の家だった。
「ねぇ、これから時間あるかしら」
「は?」
「上がって行ってちょうだい」
「いやそれは・・・」
「都合が悪かったかしら?」
「・・・そうじゃねぇけどよ」
「じゃあ良いじゃない」
「いや、普通に考えてダメだ」
「何がダメなのよ?」
「ハァ・・・良いか、俺は男で、お前は女だ」
「そんなの、見れば分かるわ」
「なんか、その・・・色々マズいだろ⁉」
「何よ、いやらしいわね。
そんな事考えていたの?」
「ちげーよ‼」
「違うの?
そんなに私は女として魅力が無かった?」
「面倒臭ェな‼」
「分かったわ。
今日は諦める」
「そうしてくれ」
「ありがとう。送ってくれて。
おやすみなさい」
そう言って笑った二階堂は、どこか寂しそうだった。
「ああ。おやすみ」