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脳漿奇譚  【魔人探偵脳噛ネウロ】

第1章 【繭】 ―プロローグ―


「ッ・・・!?」


男が逆さに浮いている。


いや・・・天井に立っている・・・!?


「!?!?」


「我が輩の名は脳噛ネウロ・・・貴様の名はなんだ」


「アヤセ。白練アヤセ。あなたはいったい・・・」


「見てのとおりの魔人だ。貴様のこの店から我が輩好みの瘴気が漂っていて、ついこの地上に上がってきてしまった」


言ってる意味が全然わからない。


けど、こいつを下手に刺激したらどうなるかわからない


見た目は長身細身の美青年だけど、本人も言っている通り明らかに人間じゃない。

「本来違う次元の地上に行く予定だったのだが、少しの間この次元の地上を散策するから精一杯もてなせ。アヤセとか言ったな。お前は今から奴隷2号だ」


「ちょっと・・意味わかんない!なんで私が?」


「貴様はこの瘴気にまだ気づかないのか?」

「しょうき?」

「ここの瘴気は言わば何らかの悪意や敵意を引き寄せるもので、しかも微量だが中毒性がある」


「このままだと、どうなるの?」

「さぁな。だがそれぞれのマイナスの念が何らかの形となって現れるだろう」


「どうやったらその瘴気?を払えるの?」

「察しの悪い蛆虫め。その瘴気は貴様自身から滲み出ているのだ。貴様、面白い体質だな」

「えッ・・・やだ、払ってよ!」

「嫌だ」

「!?」

「アヤセ、取引だ。その瘴気を利用して我が輩がこの地上に飽きるまで我が輩を楽しませろ。それが出来たらその瘴気を喰ってやろう」


「楽しませるったって・・・」


「悪意は謎を生む。我が輩は謎を糧とする魔人なのだ。その謎を我が輩に喰わせるために貴様は人の悪意と謎に近づき、我が輩にそれを提供するのだ」


「そんなのどうやって・・」

「貴様は我が輩の言う通りの傀儡になれば良い。丁度良くここは貴様の店だから根城に持って来いだ」


ニタァと笑う男の顔が変形し、化け物の本性を見せる
怪鳥を思わせる頭部。そこから滴る唾液らしき滴が床を焦がす


「ククク・・これで暫くは楽しめそうだ・・・」
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