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脳漿奇譚  【魔人探偵脳噛ネウロ】

第1章 【繭】 ―プロローグ―


「アヤセ、我が輩はここで店員の真似事をする。お前は瘴気につられてやってきた客からその原因の悪意や謎を引きずり出せ」

「引きずり出すって、どうやって?」

「物わかりの悪いゴミムシめ。お前達人間がよくやっているだろう。『心配するふりをして聞き出し、首を突っ込む』のだ」

「わたしはそういうのは・・」


「・・・ダメか?」


自分よりも一回りも大きい男がかわいらしく首をかしげて見せる


「うん、ちょっとそういうh・・痛い痛い痛い痛い!!」


眉間の微かな皮膚を摘まれ、そのまま体が宙に浮く


「・・・ダメか?」


「わかったわかった!やりますします!離して!いたたたた」


途端に表情を邪悪な笑みに変え、私を床へ放り出す

とんでもない事に巻き込まれてしまった



しかも選択の余地はない




え?



店員のふりをする?

あとさっき根城って言った?

「まさかここに住む気なんじゃ・・」

「当然だ。地上へ来たばかりの我が輩を路頭に迷わせる気か?」

「いやいや、ネウロなら大丈夫でしょ」

「ここに居ればいつ何時謎が動いても乗り遅れることはないだろう、それに貴様にとっても都合のよいボディガードが出来たと思うが?」


(私は今まさに「コイツ」から守ってほしいくらいだけどね)


「なんだ?」

「・・・なんでもありません」

「ム。では早速本日の開店の準備をするのだ」

「いや、なんかさっきから眩暈と頭痛が・・今日はお休みにしようkあががががっ」


「何を言う。もし今日お目当ての客が来たらどうするのだ。さぁ、床を綺麗にしろ。貴様の舌で」

頭を片手で抑えられ、床との距離が近くなる

「ちょっ・・・わかったよ、開店するから!あとモップ使うから!」


「・・・チッ」

なら早くしろと言いながら、近くの椅子にふんぞり返る魔人。



店主の苦悩と疑問を背負いながら
いつもよりも30分遅れた後、

カフェ 『cocoon 』は営業を開始した。
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