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短編集【庭球】

第13章 オワリノハジマリ〔仁王雅治〕


「なあ、別れたかったんか?」
「…それ、今聞く? ずるくない?」
「ピヨ」


唇を尖らせてなんともいえない擬態語を発した仁王の整った顔に、そっと触れてみた。
ぱち、と大きく瞬きをしたと思ったら、すぐに口角がにやりと吊り上がって。
頬を撫でていた右手を強く引かれたと思ったら、そのまま唇が重なっていた。



「別れんっちゅうことでよさそうじゃな」


満足気に笑う仁王に、私もつられて笑った。


テニスのときのみならず、授業中にもときどき柳生と入れ替わっては私と話していたという驚愕の種明かしによって、一番知りたかった「なぜ私に」という疑問に答えが出たような気がしたのは、その日の帰り道のことだった。


fin








◎あとがき

読んでいただき、ありがとうございました!

私の小説に悶々と一人で考え込む系のヒロインが多いのは、なんだかんだやっぱり自分の性格が暗いからなんだろうなあと思う最近です。
天然カワイイ子も書きたかったりするのですが、そしてそういう小説のほうがウケがいいんじゃないかと考えたりもするのですが、難しくてなかなか筆が進みません…

少しでも楽しんでいただけたのなら、幸いです。
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