第11章 教師にラブソングを〔渡邊オサム〕
四曲目、テレビからよく流れてくる有名な曲。
観客を煽りながら手拍子を求める渚は、部室でだべっとるときと同じ、笑顔やったから。
その姿に、自分の口角が自然と上がったんがわかった。
泣き顔も綺麗やったけど、やっぱ笑っとんのがええわ。
今の時点で、俺が渚に言えるんは「卒業までの四か月ちょい、待っとってくれるか」っちゅーことだけやけど。
さんざん待たせて苦しめて、ほんま申し訳ないけど。
きっと、わかってくれるはずやし、待っとってくれるはずや。
万雷の拍手の中、渚が「ありがとうなー、おおきにー!」って客席に手を振る。
目が合ったから、笑って小さく手を振ってやったら、返ってきたのは満面の笑み。
マイクを遠ざけて、口の動きだけで「ありがとう」って言ったんがわかった。
必ず迎えに行くで。
その日になったら、これまでの分全部取り返すくらい、好きやって言ったる。
いや、それ以上に言ったる。
飽きるまで言ったるからな。
興奮冷めやらん会場のざわめきの中、渚が引っ込んだステージは、まだキラキラ輝いとるように見えた。
fin
◎あとがき
読んでいただき、ありがとうございました。
個人的に、結構チャレンジした作品です。
初めてヒロインをマネージャーにしたり、関西弁にしたり。
しかも部員じゃなくて顧問が好きとか、それってどうなのよ、という。
そして初めて、タイトルを先に思いついた作品でもあります。
昔「天使にラブソングを」っていう映画があったのをふと思い出して、語呂がいいので似たようなタイトルにしたいなと考えました。
本当は「紳士にラブソングを」で柳生夢なら、一文字違いでもっとよかったのでしょうが、先にオサムちゃんを思いついてしまったので。
柳生はいつか書いてみたいと思います。
「詐欺師にラブソングを」で仁王も。
ヒロインが歌った曲は、B'zをイメージしました。
イチブト◯ンブ、もう一度キ◯したかった、◯ational ◯oliday、◯ltra ◯oulの四曲。
(検索に引っかかると困るので伏字にしました笑)
楽しんでいただければ幸いです。