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短編集【庭球】

第10章 Body & Soul〔仁王雅治〕*


内腿を焦らされるようにさすられて、指先が時折秘部をかすめて。
思わず声が漏れそうになるのを、必死で堪える。

「まさ、はる…やだ、運転ちゅ、う…」
「ん? 聞こえんのう」
「あぶな、いから…やめッ、て」
「確かに危ないのう、ちゃーんと前見ちょらないかんぜよ」
「ん…だめ…だ、ァめっ…」
「お、ちょっと進んだか」


前の車が少し進んだのを見て、雅治が手を引っ込めた。
サイドブレーキを下ろして、アクセルは踏まずにゆっくり車を進める。
ちらりとバックミラーを見ると、化粧ではない赤みが頬に差していて、恥ずかしくなった。

安全運転をさせてくれる配慮には安心したけれど、身体は本能的に続きを求めていたみたいで。
たくし上げられたスカートをそのままにしていたのは、本当に無意識だった。


サイドブレーキを再び引き上げると、待っていたとばかりに雅治の手が伸びてくる。

「スカートも直さんで…もっとシてほしいっちゅうことでええんじゃな?」
「え? …きゃッ、ああ!」
「ええ声じゃが、ちょっと大きすぎるかもしれんのう」

私が落としたカーステレオのボリュームを、雅治がぐっと上げた。
急に大きくなったサックスの音色が切なく揺れて、私の嬌声を上書きする。
雅治の長い指が、パンストと下着越しに、私の濡れた花弁をとらえた。


「ひァんっ! だ、ッめぇっ、まさは、るっ…! あぶない、からぁ…」
「おーおー、こーんなにして」


拒む言葉の一切を見事に無視して、指が上下運動を繰り返す。

エアコンの冷風が、熱を持った部分を撫でて。
そのひんやりとした冷たさで、自分がどれだけ溢れさせているかが嫌でも突きつけられた。
いつもより覆う部分の小さな布は、もうきっと色が変わってしまっているだろう。
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