第67章 星を数えて〔財前光〕
「聞かれたら自慢したりますわ。彼女から貰ってん、て」
先輩はぱちりと目を瞬かせて「小春ちゃんは目ざとく聞いてきそうやな」なんて言いながら、とても嬉しそうに笑った。
鼻唄でも歌い出しそうな表情を見ていると、どちらが誕生日を祝われているのかわからなくなりそうだ。
「なあ、私ら、今同い年やねんな」
「ああ、そっすね」
「なんか嬉しいわ」
秋、先輩の誕生日を迎える頃には、全国制覇という願いも叶えておかなければ。
そのときにはこのピアスの意味を明かしてもいいかもしれない。
しばらくは、頑張るのはテニスだけにしておこうか。
珍しく先輩から繋いできた手を、離れないようにとそっと握りしめる。
重なった唇に、小さく「俺もっすわ」と告げた。
fin
◎あとがき
お読みいただき、ありがとうございました。
更新がかなり止まってしまい、申し訳ありません…
財前のピアスが願かけだったらいいなと思いついたのが最初で、誕生日はあとから気がついて盛り込みました(酷)
財前くんおめでとう!
少しでも楽しんでいただけたら幸いです。