第9章 秋は夕暮れ〔渡邊オサム〕
「なあ。謙也に渚て呼ばれてたやん。あと、白石とも口パクでなんやら話しとったやろ」
「ああ、うん」
「ほんま妬けたわ」
「え、そうだったの?」
「教え子ながら、テニス部は優しくてええ男ばっかやからなあ。俺の方がよっぽどガキやな」
人差し指で頬を掻く彼に、精一杯の愛を伝える。
「私はオサムちゃんじゃなきゃだめ」
「俺もや。やからもう授業サボったらあかんで」
「やだ、なんで急に教師みたいなこと言うの」
「何言うてんねん、俺は教師や」
「え、知らなかった」
「あほ」
笑いながら落ちてくる口づけは、煙草の香り。
fin
◎あとがき
お読みいただきまして、ありがとうございました!
初オサムちゃん、いかがでしたでしょうか。
タイトルは枕草子の一節から。
私が中学生だったころ、担任の先生がちょうどオサムちゃんと同い年の関西人だったので、なんとなくイメージして書きました。
もちろん私自身は先生のことは全然好きではなかったんですが笑
オサムちゃんを何の教科の先生にしようか結構迷ったのですが、古典の先生だといいな〜と願望だけで書き連ねてしまいました。
平安時代の覗き見? 垣間見?とか、源氏物語の昼メロっぷりとか、へらへらした関西弁でさらっと解説してほしいな〜とたくましすぎる妄想。
異論は俄然受け付けます!
ぜひ皆さんのオサムちゃん像も教えてください。