第9章 秋は夕暮れ〔渡邊オサム〕
次の日も、その次の日も、オサムちゃんから連絡が来ることはなかった。
金曜の五限はオサムちゃんの古典なのだけれど、顔を見たら泣いてしまうような気がして、体調は決して悪くないのに保健室に逃げ込んだ。
「頭が痛い」と適当に言い訳をしてベッドに潜り込んだら、寝不足も手伝ってあっさりと眠れて。
目が覚めたら、もう放課後になっていた。
教室に戻って、のろのろと帰り支度をする。
机の中には、五限と六限で配られたのだろうプリントが何枚か入っていて。
ぱらぱらと内容を確認したら、そのうちの一枚に、黄色い小さな付箋。
18時半、私の家のそばのコンビニ駐車場。
見慣れた、癖のある字だった。
駐車場で待っていたら目立つだろうと思ったから、時間ぴったりに着くように家を出た。
日はもう落ちて、薄暗い。
私を追い越すように、ヘッドライトをつけたシルバーのミニバンが駐車場に入っていく。
小走りに追いかけて、素早く助手席に座った。
車内に染みついた煙草の匂いが、なんだか懐かしいような気がした。