第7章 就活ブルー〔跡部景吾〕*
「ありがとう、気づかずに無視しちゃうとこだった」
電話を終えた渚が足早にベッドまで戻ってきて、俺の首筋に絡みついた。
「ね、景吾。就活、今終わったよ」
「よかったじゃねーか」
髪を撫でてやると、安心したように笑って。
「うん、よかった。本当によかった…」
「ところで、どこなんだ」
俺が尋ねると、跡部財閥の稼ぎ頭でもある大手商社の名前が出てきて、驚いた。
「私、言ってなかったっけ? 跡部グループのメガバンからも、生保からも内定もらってるよ」
「…いや、聞いてねえ。そんなとこ受けてたのかよ」
「そんなとこって、私にとってはすごく重要なことなんだからね」
これで景吾の隣、堂々と歩けるもの。
耳元で囁かれたのは、どんな言葉よりも甘美で。
俺を捉えて離さない。
「就活が終わったってことは、スーツはもうしばらくいらないわけだな」
「そうね、そうなるね」
「じゃ、着たままヤるか」
「ええっ?! 今から?!」
こうなったら一生帰さねえよ、と言ったら、そのつもりだもん、なんて抜かしやがって。
今日はやっぱり、お前が悪いぜ。
fin
◎あとがき
お読みいただき、ありがとうございました。
初裏…!いかがでしたでしょうか…!
書いていて恥ずかしくなってきたり、これ跡部様っぽくないぞと焦ったり、いろいろありましたが、なんとか書き終えることができました。
就活がしんどかったことを思い出して、こんな彼氏が癒してくれてたらもっと頑張れたかもしれないなあ、なんてないものねだりをしてみたりして。
少しでも楽しんでいただけたら幸いです!