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短編集【庭球】

第7章 就活ブルー〔跡部景吾〕*


「ずいぶんいじめてくれたじゃねーの」
「ひあっ、ん!」
「くっ…簡単に吞み込む、くせに…中はキツ、いのな」

耳元で聞こえる甘い叫びに。
首に絡まる細い腕に。
愛液で溢れる蜜壺に。
全身がとろけそうになる。

顔を見てしまったら俺の方が先に果ててしまいそうだから、渚の首筋に噛み付くように顔を埋めていたら。
渚がくしゃ、と俺の髪を掴んで、限界が近いことを知らせてきた。

「あ…ん、も、だっめ…」
「いいぜ、イけよ…ッ」
「んんん…っんんんん!」

声も吐息もすべて自分のものにしたくて、紅く濡れた唇を塞いだ。
渚は背中を反らせて、身体も中も震わせて。
俺もほぼ同時に、渚の中に欲を吐き出した。




どれくらい経ったのか、不躾に鳴る着信音で目が覚めた。
俺のはサイレントモードにしてあるから、こいつのか。
就活関連の電話なら出ないとまずいのだろうと、寝起きの頭で考えを巡らせる。
隣で寝息を立てているのを揺り起こすと、渚はシーツを掴んで携帯まで飛んで行って。

俺に背を向けて、ありがとうございますだのよろしくお願いしますだの、何度も頭を下げていた。
電話の相手は、まさか何も着ていないなんて考えもつかないだろうと思ったら、薄い笑みがこぼれた。
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