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短編集【庭球】

第7章 就活ブルー〔跡部景吾〕*


「けえ、ご…?」

頬を紅潮させて、息を弾ませて。
物欲しそうな顔でこちらを見つめる。

「続き、して欲しければかわいくおねだりしてみろよ」
「えっ…そん、な」
「できねえの?」
「は、恥ずかしい…」

本当は我慢なんぞできないが。
可愛い顔がもっと見たくて。

「じゃ、お預けだな」

渚の上から退こうとすると、腕を両手で掴まれる。

「ま、待って…!」

ゆるゆると起き上がると、渚は俺のシャツに手をかけて。
おぼつかない手つきでボタンを外して、ベルトに手を伸ばした。

てっきりそのまま「ちょうだい」とかなんとか言われるものとばかり思っていたし、俺の身体もそのつもりでいたから、面喰らう。
限界までいきり立った俺自身を細い指が遠慮がちになぞって、思わず身震いした。

「…すごい…」

俺をベッドに座らせると渚は四つん這いになって、股間に顔を埋めて。
チロチロと舌が這って、唾液がつうとシーツに落ちた。
こんなことはずっと前に一度させたきり、忍びなくてさせられなかったのに。
先端が唇に吸い込まれていくのを他人事のように見つめていたら、そのまま持っていかれそうな快感が襲ってきて、声が漏れた。

「きもち、よさそ…うれひぃ」

咥えたまま話す姿があまりに卑猥で、余裕などどこにも残っていないことを痛感する。
早々に切り上げさせて、渚を組み敷いて。
入りたくてたまらなかった場所を、一気に貫いた。
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