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短編集【庭球】

第47章 アクアブルーで抱きしめてII〔木手永四郎〕*


*裏注意
*第46章「アクアブルーで抱きしめてI」の続編です。読んでおかないと意味がわからないかと思いますので、お手数ですがご一読ください




数日後、比嘉がインターハイ決勝で負けたらしいと教えてくれたのは、オーナーだった。


ほんの少しの間だったけれど、彼らの近くにいて、心の底から頑張ってほしいと願っていた。

頑張っていることは傍から見ているだけでもわかったし、彼らはそれをどこまでも楽しんでいた。
素敵なチームだと思った。
全国制覇への想いは、強くて純粋だった。
自分たちならできると信じて疑っていなかった。
私はテニスに詳しいわけでも、他のスポーツを極めたわけでもないけれど、きっと他のどの高校生より頂点に近いのだろうと、なぜか確信めいたものがあった。

なのに。


ただ、私が悲しんでいられる暇はなかった。
彼らを可愛がっていたオーナーの落ち込みようが、それはもう半端ではなかったから。
午前と午後、二度のツアーには出るけれど、他のことがまるで手につかないくらいに腑抜けてしまって、その日も次の日も、店じまいを私に任せて早々に帰っていった。

それなりに仕事が回せるようになってからでよかったと思いつつ、会計処理やら店の掃除やら、雑務を淡々と片づける。
店に一人でいるのは、気を遣わなくていいぶん楽だった。


仕事を終えてようやく暗くなった八時ごろ、エアコンを切って店を出た。
そういえば今朝は、オーナーが出勤後何もしていなくて、午前のツアー出発が遅れそうになったっけ。
明日は私が早く出て準備をしておかないと、そんなことを考えながら戸締まりをする。
デッキを降りようとしたところで、砂浜に人影があることに気がついた。
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