第42章 いつか王子さまが〔鳳長太郎〕
自分に向けられた言葉だとは思えないくらい、きらきらした褒め言葉。
別の意味で呼吸がままならなくなりそうだ。
信じられない気持ちは山々だけれど、信じてもいいのだと、長太郎の穏やかな目が語りかけてくれている気がする。
「俺だけのお姫さまでいてください」
恥ずかしくて死んでしまいそうになりながら、なんとか「長太郎が王子さまなんだと思う」と伝えたら、長太郎は「よかった、それなら二人は結ばれますね」なんて笑った。
あんまり遅くなると怒られるね、と言い合って、私たちはどちらともなくまた歩き出した。
いつまでも幸せに暮らしましたとさ──
私たちにもそんなおとぎ話のような未来が待っていたらいい、そんなことを思いながら。
fin
◎あとがき
お読みいただき、ありがとうございました。
初の鳳夢、いかがでしたか。
チョタをこんなにもロマンチストにしていいのかと、ロマンチストは忍足の専売特許じゃないのかと、悶々としながらも結局最後まで書いてしまいました。
ああ難しかった…
日記でも書きましたが、ついにこの短編集を公開してから一年が経ちました。
これまで読んでいただいたすべての方に、感謝したいです。
本当にありがとうございます。
そして願わくば、これからもご愛読いただけますように。
今後ともよろしくお願いします。