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短編集【庭球】

第41章 All of me〔仁王雅治〕*


この間、いつものメンバーでお互いの彼女の話になったとき「仁王先輩のカノジョって、いつか迎えに来てたキレーなオネーサンでしょ? ちょっとうらやましいけど、遊ばれてるんじゃないスかー?」と赤也に言われて無性に腹が立ったから、情けで見逃してやっていた悪行の一部を真田にそれとなくばらして、死ぬ直前まで走らせてやった。
赤也も冗談半分で言ったことなのだろうし、なんとも大人気ない八つ当たりだとわかってはいるけれど、堂々と否定しきれない自分がいて。

さっきだって、無免許運転なんて相当な無茶をした俺を結局許してくれて、これが大人の余裕なのだと突きつけられたようで。

だから、せめて。
せめてささやかな駆け引きでだけは、自分が優位に立っていたい。



「やああっ、またイッちゃ…うッ」
「俺も、そろそろええかのう…」
「う…んッ、一緒が、いいっ」


離さないとばかりに、細い脚が俺の腰に絡みついた。
それが愛おしくて、射精感が一気に押し寄せる。
何度も収縮する泉の中で、後を追うように俺も絶頂に達した。

本当は怒られるのを承知で、彼女の腰のあたりでくしゃくしゃになっているタイトスカートを派手に汚すつもりだったけれど。
まあいい、まだチャンスはあるだろう。



ずる、と彼女の中から抜け出して、俺の欲をすべて受け止めたラテックスを手早く処理する。
テーブルの上のボックスティッシュに手を伸ばして、ほしいと言った彼女にも手渡しながら、俺は立ち上がってテレビの横にあるゴミ箱へ向かった。
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