第37章 この素晴らしき世界〔仁王雅治〕
「期待、って」
「またデートしてくれるんじゃろ? 次は海岸沿いのドライブのあと、砂浜歩くってのはどうじゃ」
「デ、デート?!」
「そ、デート。病院で会った日からずっと、渚チャンのことが頭から離れんくてのう」
一目惚れかもしれん、と彼はため息でも吐くようにそう続けた。
…ああ、もうだめ。
心もペースも完全に奪われてしまって、私は自分が恋に落ちる音を聞いた。
fin
◎あとがき
お読みいただき、ありがとうございました。
ずいぶんと前に書いたお話の前日談。
構想はかなり前からあったのですが、なんとなく形にできないままずるずるとここまできてしまっていまして。
正直甘くも切なくもないし、もう本当にすみません、俺得としか言いようのないお話なのですが…いかがでしたでしょうか。
タイトルは、車でかかっていた設定のBGMから。
恋をすると景色がそれまでと違ってきらきらして見える、そんな雰囲気を出したくて拝借しました。
ああ、私もにおちゃんと夕方の海でドライブデートしたい!
今回前日談を書いたので、後日談も書けたらいいかもなと思ってはいますが、はてどうなることやら。
読んでやってもいいぜ、というお声がもしありましたら、手がけてみようかと思ってはいます(超後ろ向き)
少しでも楽しんでいただけたら幸いです。