第34章 サイケデリック・ラブ〔忍足謙也〕
結局ぎりぎり五限目に間に合った私は、ノートを取りながら昼休みのことを思い返した。
毎度毎度、いちいちオチをつけてくるあたりは、さすが関西人と褒めるべきところなのかもしれない。
謙也と過ごす時間は高低差が激しくて、めくるめくスピードで、やっぱり一ページには収まりそうにない。
そして新鮮な驚きがたくさん詰まった時間を過ごすたびに、その疾走感が癖になる。
ボールペンのお尻が、ふと唇に触れた。
さっきのキスの感触を、謙也もまだ覚えているだろうか。
その感触を閉じ込めるようにそっと下唇を噛んで、再びノートにペンを走らせた。
fin
◎あとがき
お読みいただき、ありがとうございました。
キスしたいがために嘘の校内放送で放送室に呼び出す、というのをどうしてもやらせたかったのですが、久々の謙也、いかがでしたか。
謙也と付き合ったら絶対楽しいけど疲れそうだなあというイメージも存分に盛り込み…というか書きたいことを全部ごちゃごちゃ詰め込んだらこうなりました、みたいな作品になりました。
ちなみにこの日の千歳は、午後の授業はサボるけど部活には出て欲しいですね。
健気なヒロインちゃんから「ノート取っておいたよ」というメールをもらっているのを隠して、謙也にジュースを奢らせる、みたいな流れだといいな。
少しでも楽しんでいただければ幸いです。