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短編集【庭球】

第32章 記憶の中で君を抱く〔越前リョーマ〕*


意識を取り戻したらカーテンから光が差し込んでいて、朝になっていることを知った。
気だるさの残る身体を少し動かすと、隣で寝ていたリョーマがもそりと動いた。


「あー…起きたの?」
「ごめん、起こしちゃった」


何も身につけていない身体の、独特のべたつきが気持ち悪い。
シャワーを浴びたくてベッドから抜け出そうとすると、それを許さないとばかりにリョーマの腕が腰に絡みついてきた。


「シャワー、したい」
「やだ」
「なんで」
「やだから」


少し抵抗してみたものの力では到底敵わなくて、そのまま再びベッドに引きずり込まれる。
恨みがましく睨みつけたけれど、リョーマが「勝手に離れないでよね、せっかく久しぶりに会えたのに」なんて寝起きのくぐもった声で言うから、力が抜けて。


「仕方ないなあ」と口から出た言葉とは裏腹に、起き抜けの心臓が暴走するくらい幸せを感じていることを、また寝息を立て始めたリョーマは、きっと知らない。

昨日の枕の一件を休みの間中からかわれることを、このときの私はまだ知らない。
休みの最終日に、リョーマからのプロポーズが待っていることも。
このときの私はまだ、知らない。


fin





◎あとがき

お読みいただきまして、ありがとうございました!

久々のリョーマ夢、いかがでしたか。
個人的には、やっちまった…! っていう感覚です。
ああ、前にリョーマ夢書いたときも失敗したなと思ったんでした。
鬼門です、主人公なのに。

夢っていうか、なんかもう、こんなにひたすらエロばっかりの話書くの、初めてで。
リョーマ裏はずっと書きたかったんです、構想もあったんです、あったんですけど…!
書いていて恥ずかしくて恥ずかしくて、途中で何度捨ててしまおうと思ったか。

少しでも楽しんでいただけますように。。

こんなお話でも最後まで目を通していただいたみなさま、本当にありがとうございました。
もっと精進します…
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