第32章 記憶の中で君を抱く〔越前リョーマ〕*
「あ…んっ」
パジャマの裾からそろそろと手を差し入れて、ささやかな膨らみに触れる。
待ちわびたように固くなった尖りを、人差し指の腹で撫でた。
冷え切った指先は自分のものではないみたいで、たまらず漏れたのは吐息混じりの声。
──恋人のにおいに欲情するなんて。
身体の火照りを自分で慰めるのも初めてで、自分のいやらしさに自分で恥ずかしくなって。
けれど手の動きはどうにも止まらなくて、リョーマの枕に顔を押しつけた。
大きく息を吸うと鼻腔からリョーマを感じて、隣にいて抱き合っているような感覚になる。
摘まんで、弾いて、彼がいつもしてくれることを丁寧になぞるように。
指先を口に含んで湿らせて、もう一度突起を撫でると、全身が歓喜に震えた。
真っ暗な寒い部屋の中で、私の身体だけがぬるぬると、熱を帯びていく。
ほんの少し残った理性でためらってみたけれど、走り始めた欲の前では全くの無力だった。
ズボンの中に手を滑り込ませて、下着の上から一番敏感な部分に触れる。
もう下着としての役割を果たさないほど派手に湿っているそこは、くちゅ、と水音を立てて私の羞恥を煽った。
こんなときリョーマは、唇の端をきゅっと持ち上げて「もうびしょびしょじゃん、そんなによかった?」と意地悪く言って、わざと音を立てるように触れて私をますます蕩けさせるんだっけ。
それから「ここ真っ赤。食べられるの待ってたでしょ」なんて言いながら脚を割って顔を埋めて、花芯を舌で転がして、私を天国へ導くんだ。