第28章 恋人はサンタクロース?〔木手永四郎〕*
「ひゃ…ッあン! んんん!」
首筋に、鎖骨に噛みつかれて。
下着に隠れていた二つの頂を、爪先で何度も弾かれて。
脇腹を乱暴なくらいに撫で回されて。
耳に舌を突っ込まれて。
酔うというのは、理性のタガが外れるということらしい。
感覚が剥き出しになったような、冗談じゃなく全身が性感帯にでもなったような。
拘束された腕では、永四郎の手をかわすこともできないまま。
与えられる刺激に、声が、腰が、何度も震えた。
暗闇に慣れてきた目が、ようやく永四郎を捉える。
眉間に深く皺を刻んで、唇を真一文字に噛んで。
永四郎が何も言わないのが淋しくて、息も絶え絶えに名前を呼ぶ。
「え…しろ、えーしろぉっ」
「今日はずいぶん、いい声で啼くんですね」
「や、だ、ちが…」
「俺とじゃなくても、こんな風に乱れるんでしょう?」
「そんな、こと…っ」
「こうやって感じて、目を潤ませて、男を煽るんでしょう?」
「そんなこと、ない…もんッ」
「…どうだか」
そう低く言い捨てた永四郎は、スカートを一気にたくし上げた。
ストッキングに包まれた太ももが、冷たい空気にさらされる。
膝の間に、触られてもいないのに滴った何かを感じて、恥ずかしくて目を閉じた。
ストッキング越し、ずくずくに溶けきったそこに、永四郎の指が這った。
「…もうこんなにしてるんですか」
「きゃ、んんっ!」
「いつからですか、飲んでいるときからですか」
「ちが、うっ」
「それとも、それより前かな」
「だから違…あっ、ひゃッあああ!!」
永四郎の長い指が、いとも簡単にストッキングを破って下着をずらし、絶え間なく蜜を垂れ流す私の中心へと侵入してきた。
待ち望んでいた刺激は期待以上の快楽で、私を揺さぶる。
腰から頭の先へと電気が流れて、暗闇の中に閃光が見えて、私はあっさり絶頂へと登りつめた。