第27章 片想いラプソディ〔宍戸亮〕
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手応えが決して芳しくなくてもテスト期間は淡々と過ぎていくもので、あっという間に最終日。
テスト中は部活動が全面禁止になるから、本当なら今日は久々にテニスができるはずだったのに、土砂降りの雨ときた。
最後の科目の英語の試験が終わった直後、今日はオフにするって連絡が跡部から回ってきて、俺は小さく舌打ちした。
「しーしどー、どうだった?」
「相変わらずリスニングが壊滅的だったな…」
「あー、やっぱり? 私リスニング苦手じゃないけど、今日のは難しかったよ」
手をひらひらさせた林が、ふと窓の外を見遣る。
つられて外を見るふりをして、俺は林の横顔を盗み見た。
肌、綺麗だな…生傷の絶えない俺とはえらい違いだ。
その横顔がゆっくり口を開いたから、俺も慌てて視線を窓へと移した。
「…雨、ひどいねえ」
「だな、部活もオフになっちまった」
身体なまってんのに、とこぼすと、林は手をぱんと叩いて、俺の方を向いてにっこり笑った。
「なら、ストレス発散でボウリングでも行こうよ。なんかバコーンと倒してすっきりしたい気分!」
「お、おう、いいぜ」
眩しいくらいの笑顔に心臓がどくんと波打って、返事に全然キレがない。
ああ、なんでこいつの前だとこんなにダサいんだよ、俺は。