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短編集【庭球】

第21章 ノーサイド〔越前リョーマ〕


「さっき言ったよね、俺。ずるいって言われても渚先輩がほしいって」


甘い言葉を畳みかけてくるリョーマに背中を押されるように、かろうじて頷く。
なんとなく、またキスが降ってくるような気がして目を閉じた。

深い深い口づけの最中、重なった唇から「その顔、ずるい。かわいすぎ」なんて、また甘い台詞が直接囁かれて、頭の芯が痺れていくような気がした。





「俺、根に持ってるからね」


長いキスの後、呼吸を整えていた私に、ひとつも呼吸を乱していないリョーマが不意に言った。


「なに、を?」
「渚が桃先輩に告ったこと」
「え」
「なんで桃先輩なんかに告白しちゃったんだろ、って後悔させてあげるから」
「え…」
「そのくらい幸せにする、ってこと」


私の頬に軽いキスを落としながら言ったリョーマに、私はきっと一生敵わない。


fin





◎あとがき

お読みいただき、ありがとうございました!

もう二十話も書いたくせに、初リョーマです。
主人公なのにこの扱いの酷さ。すみません。

リョーマくんをキープするというなんとも贅沢なヒロインと、キープくんから彼氏へと強引にジャンプアップするリョーマくんのお話。
いかがでしたか…とお聞きしたいところですが、自分では「うーん…」と思っています。
ヒロインの揺れる女心というか、打算的なところ、もっと書き方があったんじゃないかと。
でも、読み返してみても「今の私の筆力ではこれが限界か…」としか思えませんでした。
ずるい女の子というのはいつか書きたかったテーマだっただけに、自分で自分にショックです。。
もっと精進して、いつかリベンジしたいと思います。反省。
でも思い入れはあるので、更新してしまいました。猛省。
そのうち「うわー、こんな話アップしてるよまじ黒歴史なんですけど」と思えるようになりたいです。

個人的見解ですが、リョーマくんには略奪愛が似合うと思います。
今回は略奪というレベルまで達しませんでしたが…


少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
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