第5章 きみへ
ちらっ
さっ
ちらっ
さっ
「…………………あの…………なんですか?」
「………い、いや?………別に」
先程からずっとこれの繰り返しだった。俺が伊月を見て、伊月がこちらを見ると視線をそらす。
「…………そうですか」
…………おかしい。やっぱりおかしい。いつもだったらこんなことすぐやめさせるのに。
「…………伊月。なんかあったのか?このところおかしいぞ?」
「……………そうですか?」
俺と話してるのに目線は携帯の画面。
「…………なあ、伊月……………」
「……………なんですか?」
……………好きな奴でもできたのか?
……………俺のこと好きじゃなくなったのか?
「………………なんでもない」
俺のこと…………見てもくれないのはなんでだ?気まずいから?何か後ろめたいことがあるから?……俺のこと嫌いだから?
なあ、伊月