第2章 トンネルの向こう
何処を見ても食べ物屋が目に付く
どの料理もとても美味しそうでついついつまみ食いしたくなるほどいい香りがしたがそれをグッと堪え更に進んだ
誰もいない…
どれだけ歩いても人の気配すら感じない
しばらく辺りを散策しているうちにだんだん辺りは薄暗くなり始め、もうほとんど太陽は沈んでしまった
「…変なの。」
人の気配は無いのに食べ物だけはどの店も山盛り
しばらく歩いているとある事に気付いた
薄々何かに見られている感覚がしていたけど
それは〝人〟を探すことに夢中で見落としていたナニカ…
そうか、ここには〝人〟なんかいない
それに気付いたとき、視線の先にある先程の店々に明かりが灯り出した
「…ッ‼︎」
驚いたその瞬間ふと自分のものではない影が隣でゆれる
日がくれてしまった今、こんなにはっきりと影が見えるだろうか
そっと隣を見る
「……嘘でしょ。」
なんと隣には怪しく揺れる大きな黒い影がゆらゆらと身体を左右に振って手招きしているではないか
あまりの恐怖に声も出ない
逃げようと視線を前に戻す
が、
もうすでに遅かった
自分の周りを囲むように黒い影かゆらゆらと揺れている
「やだ…助け、て…」
逃げ場がない
「……だれ…か………」
あまりの恐怖に声が出ない
そして吸い取られるように意識が薄れてゆく
あたしはそのまま意識を失った