第1章 …噂話し
目の前に起きた事が現実なのかまだ理解出来ない
なんの前触れも予兆もなく
こうもあっさりと『神隠し』は起こるのか
---------
-----
あたしは小さい頃からよく周囲の大人に
「この子は勘が鋭い。」
「まるで動物や植物と話してるようだ。」
そう言われた
自分ではそんな風に思った事がなかったけれど
大人はみんなあたしを少し不気味がっていたと思う
少し大きくなって初めて自分で人と違う能力があると実感したのは中学の頃
学校帰りに友達と3人で遊びに出掛けたとき、横断歩道が赤から青に変わり普通ならみんな青だからと安心して道を渡る
その時も友達2人はいつも通り道を渡ろうと前へ進んだ
だけど一瞬何か嫌な予感を感じたあたしは
「待って‼︎」
咄嗟に2人を呼び止めた
「え、?」
「どうかしたの?忘れ物?」
「違うの…何か、渡っちゃいけない気がして。」
あたしの言葉に友達2人は足を止め変な目であたしを見る
「はぁ?なにそれ意味わかんない。」
「いいよもう、早く帰ろ!」
そう口々に言いながら歩き出そうとした
その時
ーキキィィィイイイイイ‼︎‼︎‼︎‼︎
信号無視のトラックが猛スピードで横断歩道を横切り
間一髪の所で友達2人は助かった
あと数歩でも進んでいたらきっと…
これがきっかけであたしは自分にしか感じ取れない不思議な力があるのだと自覚した