第4章 特別な存在
「ここだよ。」
ハクに連れられて来た場所
「わぁー…凄く綺麗。」
そこは油屋から少し離れた丘の上だった
見晴らしのいいとても綺麗な丘に思わず感動してしまう
「いいところだろう?心を落ち着かせたくなったときいつもここへ来るんだ。」
そう言ってハクは丘に座る
あたしもハクの隣に腰を下ろした
徐々に明るくなる空
朝焼けが油屋を照らし1日の終わりと始まりを告げる
あたしは目を閉じた
心地よい風が草や花の香りを運んであたしの全身を包む
不思議、何処かで同じような事があった気がする
「、今日1日働いてみてどうだった?」
ハクの声にパッと目を開けた
優しい瞳と目が合う
「んー…凄く楽しかったよ。」
緊張したし疲れたし、でもとても充実して楽しかった
それがあたしの今日1日の感想
「それは良かった。」
ハクはふわりとあたしの頬を撫でる
やっぱりこの手を何処かで…
するとその瞬間グッと顔の距離が近くなり思わずドキリと胸が鳴った
「一つだけ約束…わたしはいつもそなたの側にはいられない。だけど困った事があれば必ずわたしを頼っておくれ。どんな事でもいい、わかったね?」
先程の優しい表情から一変、真剣な表情で言うハクにただ頷く事しか出来ない
「ふふ、いい子だね。」
「……っ…」
なんなのこの人、優しい顔したり真剣な顔したり…
「ん?顔が赤いな。疲れて熱が出たか?」
そう言ってハクはあたしのおでこに手を伸ばす
あたしはつい慌ててその手を払った
「違うよ‼︎」
ドキドキを隠したくてあたしは勢い良く立ち上がるとそんなあたしに目を丸くするハク
「も、もう寝るね。ハクありがと、おやすみなさい‼︎」
そのままハクを置いて油屋へ走る
「……クスっ
あんな事で顔を紅くするとは。」
頬を染めて慌てるを思い出しハクは悪戯っ子のように笑った