第1章 恋愛至上主義者なんて、マゾヒスティックでしかない。
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その後も、女子の話題は《神永 龍太》で持ちきりだった。
教室に帰り、昼食の時間になると、
「ねぇ、じゆはどう思う?」
沙絵はこれでもかという程、嫌そうな顔をして私の前に腰掛けた。
『なにが?』
カバンの中からお弁当箱を取り出し机に置きながら答えると、
「なにが?って…神永 龍太のことに決まってるじゃない」
持ってきたお弁当を私の机に広げ、さも当たり前かのように聞いてきた。
『神永先生?』
「こいつ、アイツに一目惚れしたんだとよ」
さっきより不機嫌な感じの翔悟が、私の隣の空いていた椅子に座る。
「一目惚れ!?」
『うん。一目惚れ』
ガタっと、音が聞こえ、
音のした方を向くと、何人かのクラスメイトと目が合う。
『ん?』
「ほら、お前がそんなこと言うから皆驚いちまってるだろ」
飲んでいたいちごオレを取られそっちに視線を戻すと、
翔悟が美味しそうに飲んでいた。
『翔悟……それ私の…』
「知ってる。
俺も好きだから。
……コレ」
返されたいちごオレは半分程になっていた。