第1章 恋愛至上主義者なんて、マゾヒスティックでしかない。
ゆっくりと翔悟の手が私の首筋に触れる。
『……んっ』
くすぐったい感覚に声が漏れる。
「んな声、出すなよ」
『だって……』
…翔悟が触るから。
「だってもクソもねぇ!!
そんなんで、もしものことがあったらどぉすんだよ!
俺がいつでもそばにいるわけでもねぇのに!」
見上げた翔悟の顔は、
強い言葉を言ってる割には今にも泣きそうで、
なんだか、
急に抱きしめたくなった。
『ごめんね、翔悟』
緩んだ力で自由になった腕を、
そっと翔悟の首に絡める。
「なっ?!」
そのまま自分の方へと引き寄せ、
『ごめんね』
温かさを感じた。