第1章 恋愛至上主義者なんて、マゾヒスティックでしかない。
『相変わらずだねぇ』
165cmの私を15cmも上から見下ろす翔悟。
女の子にしては高いほうなのに、翔悟にとっては他の小さな女の子達とさほど変わらないらしい。
「うっせ、チビ」
プイっと顔を背けながら右手で私の頭を掴み髪の毛をグチャグチャにする。
『ちょっ―――もぉ、せっかくセットしたのに………』
猫っ毛の毛先がゆるくカールした髪は色素も薄くほぼブロンドヘアー。
というのも日本人とロシア人のハーフの父とドイツ人の母から生まれたマッシュアップな私。
瞳の色もオッドアイで右がグレイの左がブルー。
正直、そんな自分が嫌だった。
幼い頃にいじめられたりもした。
ただ、中学に上がった頃からモテはじめるようになった。
イジメられて暗くなるような性格ではなかったし、
仕返しをするような嫌な性格でもなかった。
勉強も運動もソツなくこなし、オシャレにもスタイルにも気を使った。
女に生まれてきた以上、綺麗で可愛く生きたいと思った。
「多少崩れてた方が可愛げが上がるっての」
シシッ。っと照れるように笑った翔悟に、
『これ以上可愛くなったら、困っちゃうよ』
なんて冗談を言いながらたわいもない話をしていると、
いきなり体育館に女生徒達の声が響き渡った。