第1章 恋愛至上主義者なんて、マゾヒスティックでしかない。
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高校2年生に上がり、クラス替えも終え、
仲のいい 設楽 沙絵とはまた同じクラスになれた。
沙絵は、黒髪ストレートのロングに綺麗な瞳。
スラッとした体型に透き通るような声。
女の私が見てもキレイだと見とれてしまうほどの美人さんだった。
「じゆ、また同じクラスになれたね、よろしくね」
後ろから抱きしめられた腕を掴むと、
『沙絵、よろしくね』
さわやかな柑橘系の香りがした。
その後、体育館で始業式をするということで移動した。
「――――であるからして…………」
お決まりの校長先生の長い話にウンザリしながら、
さっきから右側で女生徒たちが色めきだっているのが気になる。
ちょうど体育館の真ん中あたりにいる私には見えない位置に、なにかがあるのだろう。
ひとつ欠伸を漏らし反対側を見ると、1年の時に同じクラスだった 漣 翔悟 と目が合う。
「なげぇなぁ。話」
金髪に左耳に5つのピアスをはめ整っている顔。
身長だって高くて性格も悪くない。
ただ問題なのは………
その鋭い目つきと極度の人見知りだった。
それ故、勘違いされることが多く友達が少ない。
……ホントはすごく優しいだけなのに。
『だね。……翔悟、口切ってるよ?また喧嘩?』
そっと右手でそのキズに触れると、
「…だ、大丈夫っ…」
って、焦って真っ赤になるんだから面白い。