第1章 恋愛至上主義者なんて、マゾヒスティックでしかない。
『翔悟?』
私を睨めつける彼をわざと下から覗き込む。
「……っ…バカタレ」
私の頭を叩き、
廊下の先へと歩いていった。
……?
叩かれた頭をさすりながら、
沙絵の元へと戻る。
「バカタレ」
沙絵からも同じ言葉を返され、
なんで?と言いながら席に着く。
「知らない人にはついて行かない!!
ちっちゃい頃、教わんなかった??」
子供を叱る母親みたいに沙絵がいう。
『教わった』
よく、父と母に言われたことだ。
「でしょ?
翔悟に感謝しなよ?」
はぁっと、ため息を落とし、
沙絵は携帯に目を移した。
『ちょっと、翔悟探してくる』
ガタっと席を立って、
翔悟がいるであろう場所へと向かう。