第9章 再び
「なんだよ、連れがいんのかよ…」
そう言って男たちは去って行った。
『あ、あの…!』
未だに彼の腕の中に入る状態のままだったが、何故かそれがとても心地よかった。
初対面の人に対して思うことじゃないだろうけれど…
ただここは公共の場。
夕方には帰宅ラッシュというものがあるものだ
学生もまだ歩いているし、もうやだ…。
「顔真っ赤にしちゃって君可愛いね」
くすりと笑っては、彼はまだ離してくれない。
白に淡い緑色のジャージ…見たことがあるようなないような。
そんな感じだった。
『ありがとうございます…』
「大丈夫大丈夫!それより君烏野だよね?」
『え、はいそうですけど…』
制服を見て分かった…のかな?
「そっかそっか、じゃあ俺は行くね」
爽やかな笑顔を向けた彼はそう言うと、私とは違う方向へと行ってしまった。
『うーん…』
さっきのジャージ…
どこかで見たことがあるような気がするんだけどな…
思い出せないや、まぁいっか
『あ…そういえば名前も聞いてないや』
そんなことを考えているといつの間にか駅についていた。