第9章 再び
私は急いで月島くんに返してもらった薬を飲んだ。
少し経つと、苦しかった身体が収まっていく。
匂いも多分消えただろう。
『ふぅー…、復活っ!』
よし、私も体育館に行かなければ。
そう思ったと同時に、さっき彼が言っていたことが頭にフィードバックしてきた。
そういや月島くん、首がどうやらとか言ってたような…
女子力もない私は手鏡なんて持っている訳もなく、トイレへと行くことにした_______
朝早いせいか、トイレには人はいなかった。
こんなに早けりゃ学校に来ている人も少ないよね。
まぁその方が助かるんだけど…
そして私は恐る恐る鏡の前に立つ。
あら、何ということでしょう…
『なんじゃこりゃー!?』
静かなトイレに私の声が馬鹿みたいに響いた。
慌てて大きく開いた口を手で塞ぐ。
でも塞いだところでこの状況は変わらない。
そう、私の首にはほんのりと赤くなった跡
キスマーク?というものがついていた。
『月島くんなにしてるの…』
こんな制服から見えるところにつけられると皆に見えてしまう。
消し方なんて知らないし、何とか隠さないければ…
確か、鞄の中に絆創膏があったはず。
『あった!これで隠せる!』
おっと…、首元って意外と絆創膏貼るの難しいんだな。
なんて呑気なことを思っている暇もなく、急いで手を動かした。
『これで良し!隠さないでって言ってた気がするけど…」
月島くんがいった言葉を気にかけずに、私はそのまま体育館へと向かった。
この選択が、後々大変なことになるなんて、この時の私は知らない。