第9章 再び
「なんで来るの、王様。」
そう、月島くんと重なっていてどの辺にいるのかはわからないけれど声でわかった。
「戻ってくるのが遅かったから見に来たんだよ」
『影…山くん…』
何とか声を張って影山くんに助けを求めた。
「お前、天野に何やってんだよ」
さっきより少しばかり低くなった声が保健室に響いた。
「別に王様には関係ないでしょ」
2人で話しているせいか段々手首を掴まれている手が緩くなっていく気がした。
だけど軽く振り払おうとしても、月島くんは再びガッチリと掴んでほどけなかった。
「早く、戻れよ。」
「言われなくてもそうしますー」
影山くん相手に諦めたのかはわからないけど、掴んでいた手首を離される。
そして月島くんは最後に私にこう耳打ちをして出て行った。
「次は…覚悟しときなよ?」
その言葉は耳の奥深くにそっと響いた。
それを聞いて想像してしまった私はもう駄目だろう…
「おい、あいつにどこまでされた?」
『ぇ…?』
急に現実に戻され、いつの間にか横には影山くんが立っていた。
「あいつに触られた所、全部消毒してやる」
『私怪我なんてしてないよ?』
ドサッと音がしたと思えば視界には白い天井と影山くんが映った。
あれ…、これはまたヤバイ感じですか?