第8章 お誘い
翔陽に手を掴まれて走り出してから約2分。
1年の教室から体育館までは少し距離がある。
元々運動部にも入っていない私が、翔陽の走るスピードについていける訳が無い。
『翔陽っ…そんな走らなくても』
「あっ、悪りぃ…早く走り過ぎた…」
昔から体力馬鹿な翔陽は本当に元気だ…
私なんてもうヘトヘトだ。
今は体育館の扉の前。外からでも響いて聞こえてくる。
ボールが地面に打ち付けられる音。
キュッと地面に擦れるスパイクの音。
その音を聞くと、昔翔陽と一緒にバレーをしていたのを思い出す。
それはとても小さい時で、ただ2人でボールをレシーブしていたくらいだけれどそれでもとても楽しかったのを覚えている。
バレーにはあまり詳しくはなかったけれど、翔陽と昔からしてたせいかルールーとかポジションあたりのことくらいならわかると思う。
「、入るぞ!」
『うん…!』
何かちょっと楽しみかも、そう思っている気持ちと少し嫌な予感が混ざった変な気持ちで体育館の扉に手を掛けた。