第8章 お誘い
午後の授業は薬のおかげで何事もなく受け終われた。
授業中にふと考えていたこと…、
そういえば屋上にいた彼は誰だったのだろうか…?
今更だけど、少し気になった。
背が高かったし、1年生…ではないのかな。
見覚えもないし…と言っても私も入学してそう日も経ってないから知り合いでもないのに見覚えがあったら逆に怖いか。
なんてことを呑気に考えていた
先生の話も終わると、帰る用意をしていつも通り教室を出ようとした。
そのとき、教室の扉が勢い良く開いた。
今日の間に何回勢い良く開いただろうか…
「!」
誰かと思うと、そこに立っていたのは翔陽だった。
『どうしたの?翔陽』
彼は少し前にバレー部に入ったと聞いていたから、放課後に私の教室に来ることは珍しい。
「今日一緒に帰ろうぜ!1人で帰ると危ないから!」
『でも翔陽、部活あるんじゃ…』
「……!!ああああっ!?そうだった」
部活を忘れる程私のこと考えてくれてたのは嬉しいけど、流石に部活は忘れちゃダメだよ…
「良い事思いついた!!帰宅部だろ?見学でいいから見に来いよ!」
『え…、でも…』
突然言われたことに頭がついてこない。
「おーっし!行くぞ!」
『え!?ちょっと翔陽ーっ!』
私は翔陽に手を掴まれて、そのままバレーをしているであろう体育館へと連れて行かれたのだった。