第1章 伝説の始まり
「と、言うか卍解しても僕は変わんないんだけど。」
「えー、形状変化たのしみにしてたのに。」
「そう言わないでよ。始解を習得するには僕らの名前を知る必要があるんだけど、仄には特別に僕を見つけてくれた時に既に教えてあるから始解はできるはずだよ?」
「そうだね、まだやったことないけど。」
「僕としては早くして欲しいんだけどなー。」
「まだ私には必要ないから。
それにわざわざ'この学院の人達'に彼岸花の力、見せてやるのも勿体ないもん。」
「そ〜だね。可能ならあいつらを僕が葬りたいんだけど…」ボソ
「ん?なんか言った?」
「何でもないよ〜~。
それで、次の形態の卍解についてなんだけど…」
「確か'屈服'させるんだよね?」
「そう、本来は斬魄刀が持ち主の力を認めるまでに、長い修行期間が必要なんだけど。僕としては既に仄に屈してるようなもんだから大丈夫なんだ。」
「付き合い長いからねー。」
「ねー。仲良し仲良し。」
いつの間にか、彼岸花が後ろから私の手を握って指と指を絡ませていた。
「ま、気長に頑張るよ。
ねぇ、彼岸花……」
「何?」
私は後ろを振り返って微笑んだ。
「…大好きだよ。ありがとう、そばにいてくれて。」
「……うん。僕も大好きだよ。仄、僕をずっとそばに置いてね、ずっと一緒にいようね。」
二人で微笑み合い、私は彼岸花にもたれかかって目を閉じた。
スーッと吸い込まれていくような不思議感覚に包まれ、気がつくと寝具に寝ていて布団がかけられていた。
あれ?私、布団なんて被って寝なかったような…彼岸花かな?