第1章 伝説の始まり
「んー、ちょっと厳しいこと言いすぎたかな?」
「いや、仄は間違ってないよ。」
部屋に戻り寝具に仰向けに寝転がっていると、刀を置いておいた机の上に彼岸花が座っていた。
「自分で出てこれるの?」
「出ようと思ったらね。まぁ、僕としては仄の精神世界の方が居心地がいいから、できればあっちがいいんだけどね。」
どうやら昨日の花畑は私の精神世界だったらしい。
と言うか精神世界が花畑って、私大丈夫なんだろうか。
「……ま、いいや。それじゃ、昨日の続き聞かせて?」
「もう、仄は本当に自己完結で物事を終わらせるね。ここで話すと君の睡眠時間を削ることになるから、話は君の中で…」
彼岸花は苦笑いを浮かべながら私に近づき、閉じた目蓋の上に手を添えた。
「……はい。目を開けていいよ。」
目を開け起き上がると私は、彼岸花の咲く花畑に寝転んでいた。
「仄の中は気持ちいいね。」
「…その言い方、やめて。」
なんか嫌な感じがする。
「んー。」
私の隣に座っていた彼岸花は、いつの間にか後ろから私を抱きしめていた。
「なにしてんの?」
「こうやって、くっ付いてた方が僕と仄の力が同調して強くなるの〜。」
「へー。で、話きかせて。」
「もー、もうちょっと緊張してくれてもいいのにー。
……仄はさ、始解ってもう習った?」
「始解って、確か斬魄刀の第一形態だよね?」
斬魄刀は持ち主の霊力に合わせた形になるから霊力が大きい人は特大サイズを振り回すことになる、そうなると使い勝手が悪い。
だから普段は通常形態にして封印する人が多い。まぁ、例外はあるけど。で、始解は斬魄刀の姿を開放する第一段階である…って習ったきがする。
「そう。僕の場合は始解しても刀の形状は変わらない。けど、仄に変化が現れるんだ。」
「私?」