第1章 伝説の始まり
身支度を済ませ部屋を出ると、女子寮から教室へと続く廊下に人だかりができていた。
何事かと思い人と人の隙間から覗いてみると、昨夜若干バトった白哉さんが立っていた。
「白哉様、今日もお美しいわぁ…」
「誰を待っていらっしゃるのかしら、ここは女子生徒しか通らないのに。」
「ねぇ、声かけちゃう?」
おーおー、大人気だな。
まぁ、私には関係無いだろうしさっさと教室へ行こーっと。
群がる女子生徒を掻き分け教室へと向かって歩き出すと、突然私の掻き分け歩いた背後の人だかりが割れた。
「どこへ行く。」
何事かと振り向くと、白哉さんが私の後に立っていた。
「……え?教室ですけど。」
「そうか、では行こう。」
「え、は?人待ってたんじゃないんですか?」
「待ち人が来たから行くのだが?」
「え、じゃあその人と行ってくださいよ。」
白ハァ、そうしているだろう。察しの悪い女だ。」
何を馬鹿なことを言っている?なんて目線で訴えかけてくる辺りが、余計に腹が立った。
「…もういいです、好きにしてください。」
お坊ちゃまのお遊びだ、相手にしたら負け負け。
そう言い聞かせ、私は歩き出した。