第1章 伝説の始まり
早く死神になってあの人たちに恩返しをしたい。
その為には…
「あの程度のことに構ってる時間が惜しいんです。」
「……卯ノ花さん達の為か?」
「っ!!!」
なんで!!
「……なんで知ってるんですか?」
私が四番隊にお世話になっていた事は生徒は知らないはず…
「俺が朽木家の跡取りだと言ったら分かるか?」
「朽木って……」
あぁ、だから銀嶺さん私に構ってきたんだ。
卯ノ花さんに書類を届けるように言われ、六番隊の執務室に出向いた時のことだ。
『嬢ちゃん、金平糖はいるか? 嬢ちゃんは白哉と違って甘いものを食べてくれるのぉ。』
「ビャクヤってだれ?」
『ん?ワシの可愛い孫じゃよ。嬢ちゃんより歳はちと上じゃがあ奴はまだ子供じゃからの〜。まだまだ…』
なんか寂しそうだったな、あの時の銀嶺さん。
白哉さんの月の光に照らされた顔を見あげるとどことなく銀嶺さんと蒼純さんに似ていた。
「理解したようだな。で、先程の霊圧。あれはなんだ?」
「何って?」
「とぼけるな、この学院に居る生徒であれ程の霊圧が出せるのは卒業を控えた六回生の中でもごく一部の者だけだ。……何をするつもりだった。」
白哉さんからの怪訝な視線。自ずと、あの護廷十三隊の前に引き出された時のことを思い出す。
この感じなんか……
「ヤダナ……」
私は立ち上がり白哉さんを見上げ、目を細め口を開いた。
「……なんで教えなきゃいけないの?」
「っな……」
「だって、私が霊圧を高めてもあなたには何も関係ないじゃない。」
「…………。」
「じゃ、そう言う事で。」
「な、おい待て!!」
白夜さんの声を無視して私は夜一さん直伝の瞬歩で、自分の部屋に帰った。