第1章 伝説の始まり
何とかして原稿を書き直そうと模索したが間に合わず、私は代表から降ろされた。
「…うまく行かないなぁ。やっぱり、人付き合いは苦手だ。」
一日を終え宿舎へ戻りった私は、彼岸花を持って屋根に登り月を見ていた。
流魂街にいた頃は、人に会ったらまず逃げてたからな…。それでもダメだったら斬ってたし。
「……ねぇ彼岸花。聞いてるんでしょ。答えてよ。」
隣に置いていた彼岸花を月の光にかざし、ほんの一瞬霊力を込めた。
すると目の前に夢で見た彼岸花の咲き誇るあの花畑が一瞬見た、しかし…。
「…いまの霊圧はおまえか?」
突然の背後からの声に花畑が霞んで消えてしまった。
「っっ!」
昔の癖で咄嗟に刀を抜き背後に立つ男に切っ先を向け、目線を上げた。
「っなんだ、主席さんか。脅かさないで下さいよ。」
刀を向けられたにも関わらず微動だにしないうちのクラスの主席の……あれ、名前なんだっけ?
「…白夜だ。…私は今の霊圧はお前かと問うたのだが何だこれは。」
極寒の視線で私の刀を見つめる白夜さん。
「あー、すみません。音もなく後ろに立たれるとつい昔の癖で…今の霊圧は多分私のですね。」
スッと彼岸花を鞘に戻し、座り直して空を見上げた。
質問にもキチンと答えたしもういいよね?
「……。」ジー
「……。」
「……。」ジー
「……っあの、用がないなら行ってくれません?
それともあんたも嫌がらせでもしに来たとか?」
質問に答えたのに私を見つめて動かない白夜さんに苛立ちを覚え、つい口調が荒くなってしまう。
「お前は何故あのような事を甘んじて受け入れている。」
「は??」
「お前ほどの実力があれば奴らを黙らせんことも出来るだろう。」
「……。」
どうやら白夜さんは私が受けている嫌がらせについて言っているらしい。
「主席さんは…」
「白夜だ。」
「主席さんも私をお前って呼ぶでしょ?」
「…貴様は、」
「なんで素直に名前を呼べないんですか。仄です。」
「…仄、貴様は何故…「めんどくさいから。」」
白夜さんの質問に食い気味に答えた。
「あの程度の事に振り回されている時間は私には無いんです。」
そう、私には時間がない。