第1章 伝説の始まり
男は微笑むと私の額にキスをした。
「もう時間みたい…次に合った時に詳しく話すね。
それじゃぁ…僕の愛しい人。」
彼岸花の温もりが離れて行くと同時に目が覚め見渡すと、ベッドの上に寝ていた。
統学院の授業を受けるようになったが、特進クラスと言っても卯ノ花さんより厳しい先生がいるはずも無く、気が付けば編入生にも関わらずクラストップと並んでいた。
しかし、元からここで学んでいる真面目な学生からすれば、ぽっと出にでかい顔をされて気に入らないようで、何かと低レベルな嫌がらせを受けていた。
「……。」
私の目線の先には、ポッキリと折られた筆と破かれた課題の紙。
「クスクス。調子乗ってるからだよ、草鹿のクセに。」
この学院では出身が全ての様で、出身地区番号が小さい人の方が有利な人間関係が出来上がっていた。
まぁ、そんな事は心底どうでもいいけど、これは…。
先生からの指名によりクラスの代表に選ばれた私は、今度行われる学院の式典で式辞を読むことになっていた。
「はぁ…」
原稿の提出期限は今日の昼、とても今から間に合うとは思えない。
「…んー、参ったなぁ。」
ヤバイ八方ふさがりだ。