第2章 偶然
ー太宰sideー
そんなことがあった明くる日のことである。
私はその日、事件のせいでいつもより遅めに仕事を終えて帰宅しようとしていた。
外は雨が降っていた。
私は探偵社の入ったビルを出て、歩き出す。
その時だった。
目の前に血だらけの女性が倒れている。
急いで話しかけたが返事がない。
返事をするほどの体力もないようだ。
女性が何か言おうとしているように顔を上げた。
その瞬間、ちょうど車が私たちの目の前を通り、彼女の顔をライトが照らした。
確か、与謝野先生がまだ探偵社に残っているはずだ。大丈夫だ、まだ間に合うだろう。
私は彼女を肩に担いだ。