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【JING】君はオレの宝物。

第1章 出会い



 ――バンッ!


「出たな! 王ドロボウ!!」


 いきなりさっきいた警備兵たちが一斉に部屋に入ってきた。


(罠……!?)


 気付いて天井裏に逃げようと宝石に触れた瞬間、その宝石が二つに割れモウモウと怪しい色の煙が上った。


(しまっ……)


 そう思ったが最後、唯は暗闇の中に落ちていった……。





 気付いたとき、唯は暗い牢屋の中にいた。

 手は後ろで縛られ、ご丁寧に足かせまで着けられていた。


「気付いたか……王ドロボウめ」


 声を掛けられて見ると、丸々と太った初老の男が牢屋の外に立っていた。

 何度か見たことがある。……城主だ。

 その向こうには上へと続く階段が見えた。どうやらここは地下のよう。

 城主がいやらしい目をこちらに向けて言う。


「まさか王ドロボウが女じゃったとはのう……」

「私は王ドロボウなんかじゃないわ」


 唯は低く言う。


「ほう。ではただのこそ泥か?」


 黙って睨みつける唯。


「……まぁいい。そち、なかなかの女子じゃ。ワシの側室にならぬか?」

「――は?」

「そうすれば今回のことは許してやってもいいぞ。盗みなんぞ働かなくとも今よりずっと良い暮らしが出来る」

「ふんっ。誰が! ……それより、悠長にこんな話していていいわけ? お宝、王ドロボウに盗まれちゃうわよ」


 すると城主はにんまりと笑った。


「?」

「最初から、お宝なんぞここには無いわ。あったとしてもワシは知らん」

「っ……なんですって!? じゃあ、何のために罠なんか……」


 唯は叫ぶように訊いた。


「ただあの名高い王ドロボウを捕まえてやろうと思っての。そうしたらそちが掛かったのじゃ」


 そう言って城主は楽しそうに笑う。


 お宝が……ない……?


 目の前が真っ白になる。

 今までずっと探していたものは、ただの幻だったっていうの……?

 ジワリと涙が出そうになって、必死に抑える。


――その時だ。


「ぐわっ」

「うぅっ」


 上の方から複数の悲鳴が聞こえてきた。

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