第2章 自分の気持ち
「……え?」
一瞬、思考が止まる。
唯は自分の耳を疑った。
……何か、今すごいことを、言われなかった……?
ジンは続ける。
「唯が辛くても、オレは手放さないから」
そして、少し間を空けてもう一度、
「ごめんな」
と謝った。
「――う、ううん」
唯はただ真っ赤になって頷くことしか出来なかった。
すると、ジンは満足そうに笑った。
その笑顔は、すごく子供っぽくて、唯も知らず笑顔になっていた。
一緒にいていいの……?
一緒にいていいのね? ……ジン。
「あ、キールには今言ったこと内緒な。アイツうるさいから」
「ハハ……」
「さてと、シャワー行ってきますか」
言いながらジンは立ち上がった。
「あ。覗くなよ」
「の、覗かない!!」
唯が怒鳴ると、ジンは楽しそうに笑いながら、今度こそ脱衣所に消えていった。
……はぁ。
唯は大きく息を吐いた。
――私はジンのことを、どう思っているのだろう。
唯はまだ火照る頬を押さえながら考える
わかっているのは、一緒にいたいということ。
……それと、ジンのセリフに、いちいち反応してしまうということ。
これは結構困りものだ。
(キール、まだ帰ってこないし……)
時計を見ると23:20。
と、シャワールームから水音が聞こえてきた。
それからもうひとつ。これは、今日わかったこと。
ジンと二人っきりの部屋で寝るのは、すこぶる心臓に悪い、ということ。
(……とりあえず、ジンが出てくる前に寝ちゃおう。うん)
唯はひとり頷き、さっさと横になって目を閉じた。
――果たしてすぐに寝られるだろうか。
自信は……なかった。