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【JING】君はオレの宝物。

第2章 自分の気持ち



「ジ、ジン?」

 
 そして、……ジンは唯の足首を思いっきり掴んだ。


「~~っ!?」


 声にならない悲鳴を上げる唯。

 思わず涙が滲む。


「やっぱり。まだ痛いんだろ」

「……」


 唯が俯いて応えないでいると、ジンは小さくため息をついた。


 ドキンっ


 先ほどとは全く違う胸の痛み。


 失望された……!?


『やっぱり足手まといだ』


 そう言うジンの顔が頭に浮かぶ。


 いやだ。

 ……そんなこと言わないでよ、ジン!


 恐る恐る顔を上げると、ジンは唯の足首を見ていた。


「……冷やした方がいいな」


 言うとジンはぱっと立ち上がって脱衣所の方に向った。


 ジン……?


 すぐに戻ってきたジンは濡れタオルを手にしていた。

 そして、唯の足にそれを乗せる。

 ひんやりと気持ちよかった。


「……ありがとう」

「朝までに少しは良くなってるだろ」

「……ごめん」


 思わず出てしまったのは謝罪の言葉。


「なんで謝るんだ?」


 ジンはベッドの端に腰を下ろして訊いた。


「だって、私の不注意だし……」

「違う。……オレの不注意だ」

「え?」


 見ると、ジンは今までに見たことのない表情をしていた。


 ジン……?

 ……すごく落ち込んでる……?


「ごめんな」


 ジンが言う。


「守るって言っといて、キズ付けちまった」


 そして、まるで壊れ物を扱うように優しく唯の足首に触れた。

 途端、唯の顔は真っ赤に染まる。


「唯、……オレ達との旅は辛いか?」


 ジンが上目遣いで唯を見つめ訊ねた。


「え……?」


 半月一緒にいて、そんなことを訊かれたのは初めてだった。


 ――辛い?


 ……確かに、ジンたちとの旅にはいつも危険が付きまとう。

 生半可な気持ちでは命を落とすことだってあり得る。


 でも、


 それでも……、


 私はジンと……ジンたちと一緒にいたい。



「私は……」

「でも、オレは唯を手放すつもりはない」


 唯の答えを遮って、ジンが言った。


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