第2章 自分の気持ち
「ジン、お待たせ。空いたよ」
言って濡れた髪の毛を拭きながら自分のベッドに上る唯。
「……」
ジンからの応えはない。
「ジン?」
「……あ?」
「……今、寝てたでしょ」
言うと、ジンは欠伸をしながら頭を掻いて立ち上がった。
「シャワー空いた? んじゃオレも入ってくるわ」
クスクスと笑いながら唯は目の前を通り過ぎるジンを見送った。
唯はジンが時々見せる子供っぽいところが結構気に入っていた。
そのままジンは脱衣所に消えた……と思ったら、
「あ、そうだ」
と、こちらに戻ってきた。
「唯、」
「ん?」
「大丈夫か? 足」
「え!?」
唯は髪の毛を拭く手を止める。
「さっき挫いただろ」
「……」
……気付かれてた……。
「――あ、あぁ。全然平気よ!」
唯は動揺を隠すため精一杯笑顔を作る。
上手く笑えていたかどうか、自信はなかったけれど……。
するとジンは唯の目をじっと見つめて、こちらのベッドに近付いてきた。
「な、何!?」
不覚にも胸が跳ねる。
ジンはそのままベッドに手を掛けた。
ドキドキドキドキ……。
煩いくらいに騒ぐ心臓。
ジンの瞳は怖いくらいに真剣で、唯は視線を外せないでいた。